【書評・要約】プロジェクトマネージャーやリーダーは必読!『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』
某ITメガベンチャーでマネージャーをしている若狭です。久しぶりの書評・要約記事です。今回は『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』を読みまして、とても良い内容だったので紹介したいと思います!
大規模プロジェクトがテーマですが、新規事業、プロダクト開発、マーケティングなど、様々な仕事においても同じことが言えると思います。
よく言われる「考える前にまず動く」がアンチパターンとして示されており、たしかに私の経験からも「考える前にまず動く」よりも「じっくり考えてすばやく動く」ほうが成果が出せていたので非常に納得感がある内容でした^^
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『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』とは?
本書『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』は、大規模プロジェクトマネジメントの第一人者であるベント・フリウビヤとダン・ガードナーが、メガプロジェクトを成功に導くための戦略やスキルを紹介しています。限られた予算や厳しい期限の中でどのようにして莫大な利益を生むのか、また失敗を回避するために必要な「慎重な計画」と「素早い実行」のバランスを解説しています。企業リーダーやプロジェクトマネージャーに向けて、成功を確実にするための具体的な方法論を提供しており、大変参考になる内容です!!
※本書は「現役PdMが厳選!プロダクトマネジメントのおすすめ本」でも紹介しています
▼書籍概要
書籍名 | BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか? |
対象者 | 企業の経営層やプロジェクトマネージャー、大規模なプロジェクトを手掛ける人、戦略的な意思決定を行うリーダーに向けた内容です。実践的な知識を持ち、プロジェクト管理の経験がある人に特に適しています。 |
ひとこと説明 | メガプロジェクトを成功に導くための戦略を、実践的な知見と共に解説する一冊 |
著者 | ベント・フリウビヤ (著)、ダン・ガードナー (著)、櫻井 祐子 (翻訳) |
発売日 | 2024/4/24 |
ページ数 | 400ページ |
出版社 | サンマーク出版 |
中身(目次) | 序章 “夢のカリフォルニア”―ビッグアイデアの生死の境目 1章 ゆっくり考え、すばやく動く―「じっくり計画」が成功の鍵 2章 本当にそれでいい?―「早く決めたい」衝動に賢く抗う 3章 「根本」を明確にする―目的がくっきり頭にあれば間違った道具は取らない 4章 ピクサー・プランニング―アイデアは「灰色のモヤモヤ」から始まる 5章 「経験」のパワー―最初から「貯金」がある状態で始める 6章 唯一無二のつもり?―想像との「ズレ」をなくす 7章 再現的クリエイティブ―「創造はロマン」vs「創造は管理できる」 8章 一丸チームですばやくつくる―「一体感」で全員の士気を高める 9章 スモールシング戦略―小さいものを積み上げて巨大にする 終章 「見事で凄いもの」を創る勝ち筋―メガプロジェクト研究が導く11の経験則 |
読んだ人のクチコミ | ・計画の重要性と慎重さについて深く考えさせられました。多くのプロジェクトが抱える問題を克服するための具体的な方法が参考になります。 ・ピクサーの事例や「根本」を見失わない姿勢が印象的で、プロジェクト管理だけでなく日常業務にも応用できる内容です。 ・メガプロジェクトを成功させるためのアイデアが満載で、リーダーシップやチームビルディングにも役立つ一冊です。 ・プロジェクトの初期段階で時間をかけることの重要性がよく理解できました。短期的な成功ではなく、長期的な視点での計画が鍵です。 ・非常に実践的でありながら、理論も充実しているため、読み応えがあります。リーダーやマネージャーに特におすすめです。 |
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本書の要約
ここでは『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』の要約を簡単にまとめます!
本書はメガプロジェクトの専門家であるベント・フリウビヤと、ジャーナリストのダン・ガードナーによる共著です。メガプロジェクトとは、巨大な規模と資金を要する事業で、成功する確率が低く、ほとんどが失敗や予算オーバーに陥る傾向にあります。本書では、そうしたプロジェクトが抱える課題にどう対処し、成功に導くかを解説している書籍です。
特に、プロジェクトの「計画」に十分な時間をかけることの重要性が強調されています。多くのプロジェクトは楽観的に始められがちで、初期段階での調査やリスク分析が不十分なまま進行することが多いです。著者たちは、成功の鍵は「前段階での徹底した計画と、実行段階での迅速な決断」のバランスにあると主張しています。また、ピクサーの事例を取り上げ、プロジェクトの計画段階であえて曖昧さを許容しながら、クリエイティブに進める姿勢が重要であるとしています。
さらに、「なぜそのプロジェクトを行うのか」という根本的な目的を見失わないことが不可欠だと述べられています。プロジェクトが進むにつれ、目標や目的が見えなくなることが多く、それが失敗につながる一因となるため、最初から明確な目的意識を持つことが求められます。これにより、プロジェクトが途中で迷走するリスクを減らし、結果として大きな成果を生むことができるとしています。
本書は、メガプロジェクトの成功に必要な知識と経験を基に、プロジェクトリーダーやビジネスリーダーに向けて実践的なアドバイスを提供している一冊です。特にプロジェクト管理やリーダーシップに関わる人々にとって、プロジェクト成功のための戦略を学べる重要なリソースとなっています!
本書を読んだ読書メモ
ここからは本書を読んで重要だと思ったポイント、心に留めておきたいと思ったことを章毎に箇条書きで記載していきます!
ゆっくり考え、すばやく動く
- 調査、分析、設計、検討、に長い時間をかける。
- すぐに実行しようとしない。計画に時間をかけること
- 計画は時間をかけても問題ない
- 計画を急ぐのではなく、実行フェーズを急ぐ
- 計画段階で試行錯誤をする
- よい計画は、模索し、想像し、分析し、仮説を立て、検証するのを計画段階でやっておく
- 実行フェーズでのリスクを極力まで減らす。
- 木を切る時間が5分あるなら最初の3分は斧を研ぐ byリンカーン
本当にそれでいい?「早く決めたい衝動」に抗う
- 性急な計画立案をして素早く実行するとその場では満足するけど、最終的には失敗する
- プロジェクトの目的を熟考し、それを実現する方法を慎重に考えたほうが、性急に決めるよりもよい結果を得やすい。
- 作業に着手すると「前に進んでいる感」を得られるので安心しやすいが、早く決めてしまわないことを肝に銘じておくこと。
- 代替案を考えること
- 選択肢を並べてどれがベストかをちゃんと比較検討する
- システム1の思考で直感的に思いついた最初の答えに固定化しないこと
- システム2を使ってゆっくり、慎重に吟味すること
- あなたは常にベストケースを想定している
- 実際にはベストケースは滅多に起こらない。何かしらの邪魔が入ったら想定外なことが発生する。
- 想定外のことが起きた時のプランB、Cを考える
「根本」を明確にする(目的・達成したいことからはじめよ)
- 目的=自分は何を達成したいのか?をじっくり考える
- 「答え」の前に「問い」がくる。「なぜそれをするのか?」をまず固める
- ユダヤ人はどんなことにも疑問を投げかける。「探究心」と「好奇心」を持つこと
- 目的に応じてアイデアを動かす。最初のアイデアに固執しない。ほかの選択肢も考える。
- 「達成したいこと」を最後まで見失わないこと。
- プロジェクトはそれ自体が目的ではなく、目的を達成する手段にすぎない。「自分はなにを達成したいのか?」から考える。手段やプロジェクトから考えるとやり方に固執してしまう。その手段やプロジェクトをやることが目的にならないように注意する。
- フローチャートを「逆」から埋める。右側のボックス(目的)からはじめる。プロダクトであれば「良い顧客体験から逆算してはじめる」(byスティーブ・ジョブズ)
- 迷ったら「概要」に立ち返る。これはなにか?何がいいたいのか?
- プロジェクトの目的や概要が「明確」になるまで掘り下げる。目的がプロジェクトの要になる。「これをやりたい(例:リフォームをしたい)」という狭い視野にとらわれると失敗する。
ピクサー・プランニング
- 優れた計画は、「実験」と「経験」の両方を徹底的に活用する。良い計画はどちらかだけを活用する。悪い計画はどちらも活用しない。
- ズームインとズームアウトを繰り返す。ある局面から見た視点、一歩下がって全体を俯瞰した視点など、すべての視点を何度も繰り返すことで、矛盾やズレに気づく。
- ピクサー映画は、脚本から観客のフィードバックまでのサイクルを8回繰り返す。細部まで詳細に精査、検証される。曖昧な点が解消される。間違ったアイデアも試すことができる。
- 机上で検討するだけではなく、計画段階で試行錯誤、検証、学習を繰り返す。計画立案は能動的なプロセスである。
経験のパワー(最初から貯金がある状態で始める)、唯一無二のつもり?
- 先行者から学ぶこと。事例を徹底的に研究する。過去の「同じようなこと」を参照する
- 経験豊富なメンバーを選ぶ
- 「反復」が上達をもたらす
- あなたのプロジェクトだけが特別に予算が小さくなったり、スケジュールが短くなったり、効果が高くなることはない。基本的に平均通りの結果になる可能性が高い。特別な理由は通常はほぼなく、平均通りの結果を見積もりしておく。
- 「自分は違う」「今回は違う」と思ってしまうクセに抗う
- 先人から「あてになる予測」をもらう。多くの場合、1つの事例でも参考にはなる。自分のプロジェクトはこれよりうまくいくか?いかないか?を考えることができる。
- 計画段階こそ「創造的」になれる。一度計画が動き出すと、創造的になるのは極めて難しい
すごいものを作るための勝ち筋
- 「熟練者」を雇おう(特にリーダーは経験豊富な人がやるべき)
- 「よいチーム」を用意しよう(できれば熟練者に選んでもらう)
- 「なぜ?」を考えよう(目的を考える)
- ゆっくり考え、すばやく動こう
- 「外の情報」を取り入れよう
- 「リスク」に目を向けよう
- 「ノー」と言って手を引こう
- 「友好な関係」を築こう(強固な人間関係)
その他メモ
- ほとんどのプロジェクトは予算超過、工期遅延、便益過少になる
- 人は最初に浮かんだことに固執する
- 想定外のことは「予想通り」に起こる。期間が長くなればなるほど、それは起こりやすくなる。
- 前例がないことに挑戦する場合は「検証」がより一層重要になる
- 「まず行動」が視野狭窄を生んでしまう
- 人は作業にかかる時間を実際よりも少なく見積もってしまう傾向にある
- 典型的なプロジェクトではコストが過小評価され、便益が過大評価される
- いろいろなところから「データ」を集める。
- 見直すほうが早く完了する。ペースダウンしてでも2,3回は見直そう。
さいごに
ここまでで本書で学んだことのメモをまとめてきました。ぜひ参考にしてください!
明日から(今日から)やっていく!