プロダクトロードマップのつくりかた
「プロダクトロードマップをどのように決めていますか?」とたまに質問をもらいます。
ですが、「アウトプット(成果物)よりもアウトカム(成果)を重視」しているため、プロダクトロードマップの作り方を一概に言うのは難しいです。
さらにロードマップと一口に人によってイメージするものが違ったりするので厄介なのですが、ロードマップは日本語訳で”道路地図”なので、「目的地に向かうための地図」と考えればよさそうです。そして、現代のロードマップの特徴は、次のようなものです。(ガントチャートと混同される場合も多いので注意が必要)
- 「機能」ではなく「テーマ」を示す
- 「日付」ではなく「期間」を示す
- 「将来」よりも「短期」のほうが具体的である
本記事ではプロダクトロードマップをどのように作成していくのか?を解説していきます。
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プロダクトロードマップ作成の全体像
プロダクトロードマップ作成の全体像としては、次のようなかたちです。図でみると一直線にみえますが、実際には同時並行で進んだり、イテレーションを繰り返したりして、行ったり来たりをします。
1.ビジョン&戦略
2.テーマの優先度付け
3.短期のスコープ&ゴールを決める
4.機会をみつける
5.仮説構築
6.粗い優先順位付け
それでは1つずつ見ていきましょう!
1.ビジョン&戦略
ビジョンと戦略が、プロダクトロードマップ作成の基礎になります。なぜなら、プロダクトロードマップが「ビジョンと戦略をどう達成するか?という計画」だからです。
プロダクトビジョンは、どのような価値を世界に届けたいのか?どういった世界をつくりたいのか?を示したもので、プロダクトをなぜつくるのか?といった目的を明確にします。
プロダクト戦略はもう少し具体的です。例えば、「顧客にどのように価値を提供するか」「競合との違いはなにか」「収益をどのように生むか」など。
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2.テーマの優先度付け(四半期〜1年程度)
プロダクトロードマップをつくる最初のステップは、ビジョンと戦略を実現するための広いテーマを決めることです。
例えば「顧客単価をアップする」「新規ユーザーを増やす」「リピート購入率をあげる」などの広いものを指します。
これらの重要テーマを、だいたいどの期間にやるか?を決めるのがこのステップのゴールです。
それらのテーマをどのように優先度をつけるかですが、「プロダクトビジョン、戦略にどれほど貢献するか(効果があるか)」というインパクトを見極めて決めます。決め方としては、定量と定性の両面でリサーチをして、それに基づいて判断をします。具体的には、ファネル分析などでボトルネックを調査してもいいですし、N1インタビューなどで頻出する問題をテーマにしても良いです。
ちなみに、決まったテーマをどのような体制で達成していくかは組織によりけりです。例えば、「顧客単価をアップする」というテーマ達成のために、特別チームを発足して3ヶ月〜1年間の期間をあたえることは有効です。ほかにも各セクションに対して「顧客単価をアップする」ための人員を追加でアサインするなどもあります。
3.短期のスコープ&ゴールを決める
取り組むテーマが決まったあとは、短期間(例えば3ヶ月ごとなど)でのスコープとゴール(目標)を設定します。この目標は組織で定義しているOKRと一致することが望ましいです。
ここでスコープとゴールを決めるやりかたは、前に行った取り組むテーマを決める方法と同じです。つまり、定量と定性の両面でリサーチをして、それに基づいて判断をします。ここでも、ファネル分析などを行ってもいいですし、N1インタビューやユーザビリティテストで問題を把握してもよいと思います。
目標は当然ながら測定できる形でなければなりません。例えば、「顧客単価をアップする」というテーマに対してのスコープとゴールですと、「平均購入商品数の増加」とか「購入される商品単価向上」など、より分解した目標を設定するのが好ましいです。
4.テーマに沿った機会をみつける
いよいよテーマに対して各チームで向き合っていきます。ここでは、定量と定性調査を組み合わせて、ゴール達成に向けたアイデアを集めていきます。できればCPOなどのレビューをもらえるとなお良いです。
機会のみつけかたとしては、例えば、顧客の満たされてないニーズを探ったり、現在提供している機能の不備など、いろいろな観点から発散をさせます。
そして、発散させたあとは、機会に対してお決まりの優先順位付けを行います。ここでも、スコープとゴールにもっとも貢献するものを中心にピックアップしていきます。ちなみに、この時点ではソリューションはまだ考えていないので、大まかに機会に対して取り組む労力を概算しておくのが良さそうです。
5.機会を解決する仮説を立てる
つぎは、先程決めた機会に対しての解決策(施策)を決めていきます。あらためてアイデア出しを行って、目的を達成する施策一覧をつくっていきます。
ここでポイントなのが、すべてのアイデアは「仮説」であるという点です。スコープとゴールに対して、どの施策が本当に効果があるかは今の時点ではわかりません。なので、「どのようにこれらが効果あることを、最小の労力で検証するか」という検証プロセスを挟むことが非常に大切です。ですので、例えばN1インタビューやアンケート調査、プロトタイプ検証などさまざまな仮説検証の手法があるので、それらを活用します。
【参考記事】プロトタイプで検証する際に気をつけたい5つのこと
また、これら検証プロセスを通した結果、機会に対して効果のありそうな仮説がうまく見つからなかったり、思ったよりも施策実施にリソースがかかったりすることがあります。こういった際には、前のステップにもどって、次に優先順位の高い機会に対して目を向けて、また仮説だしをしていくのがよいです。ここでも一直線ではなく、反復的にイテレーションを繰り返します。
6.優先順位をつけた仮説と検証施策を大まかに並べる
つぎにどの順番で仮説の検証施策をすすめていくかを決めていきます。この並び替えの観点としては、ROI、依存関係、チームのリズムといった3つの観点があります。
ROI:優先順位付けの手法として最も使われるのがROIです。少ない労力で大きな成果を出すものを優先的に取り掛かります。「労力」と「効果」のマトリックスを作って、各施策をプロットして可視化するのもよい方法です。
依存関係:依存するタスクは先に仕上げるというのも当然のように行われています。プロジェクトマネジメントでもよく語られることですが、前工程で詰まると後ろ工程のスケジュールもどんどんズレていくので、そういった依存関係にあるタスクは、なるべく早く取り掛かるべきです。
チームのリズム:比較的安定したリズムで施策を行うことはチームの士気を維持していくためにも重要な観点です。なので、大きな施策と小さな施策をうまく交えて定期的に施策実施〜学習までを行うことが必要です。
この手順で、プロダクトロードマップが完成します。長期的なテーマ、中期的なスコープと目標、目標達成の機会とアイデアのリストです。
さいごに
以上、プロダクトロードマップの作り方を紹介してきましたが、いかがでしたか?
各社さまざまなフォーマットがあるので、初めての作成などの場合は迷う点も多いと思いますが、ぜひ今回の流れにそって検討をしてみてください。
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この辺りの本もおすすめです
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参考文献:How Do You Create a Product Roadmap?(https://jefago.medium.com/how-do-you-create-a-product-roadmap-d41a42b4a543) 2021-05-20アクセス