プロダクトマネージャーに必要な技術的な知識・スキルについて

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某ITメガベンチャーでプロダクトマネージャー(以下PM)をしています。私はビジネスサイド出身のPMですが、プロダクト要件や新たな施策を検討するときはもちろん、それらを実現させるためにエンジニアやデザイナーとコミュニケーションする際にも、技術的な知識や開発に関するスキルは必須になると思います。

今回は、PMに必要な技術知識と、それらを身につける方法、学習に使った書籍なども紹介していきたいと思います。自分の経験に加えて、尊敬するPMの先輩および海外の有力PMのアドバイスも考慮してまとめてみました。ご自身のスキルアップの指針として活用いただけたら嬉しいです。

なお、PMの技術スキルというのは幅がかなり広くなるため、優先度の高い知識・スキル領域を5つに絞って紹介します。これらを1テーマずつ毎週末の2日間で集中して学ぶことで、約1-2ヶ月で最低限の技術知識を身につけることができます。

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【書籍】世界で通用するプロダクトの創り方 ― “優れたプロダクト”はどのようにして成功したか?

手前味噌で恐縮ですがまず私が2025年5月に出版させていただいた「世界で通用するプロダクトの創り方 ― “優れたプロダクト”はどのようにして成功したか?」を紹介させてください!

本書は、「Notion」「Zoom」「Airbnb」「Duolingo」など世界で成功した15のプロダクトを徹底的に解剖し、抽象化した6つの成功原則に落とし込んだ書籍です。グローバルに通用するサービスを生み出すための具体的な戦略や創業時の舞台裏エピソードが豊富で、読み物としても面白いと思います。数多くの事例とデータに裏打ちされた成功法則を学ぶことで、プロダクトマネージャーとして自社プロダクトを「世界標準」のレベルへ押し上げるためのヒントを得られる一冊です!

▼書籍概要

書籍名世界で通用するプロダクトの創り方 ― “優れたプロダクト”はどのようにして成功したか?
発売日2025/5/10
著者若狭 烈
本の概要世界で飛躍した15プロダクトの事例を通じ、6つの共通成功原則を解き明かす実践ガイド
どんな人におすすめか・グローバル展開やエコシステム設計を学びたいスタートアップ経営者
・プロダクトの成功法則やUX設計、コミュニティ戦略などを学びたいプロダクトマネージャー・UXデザイナー
・ネットワーク効果の実装や招待制から大衆への拡散手法を知りたいマーケター/グロース担当
ページ数154ページ
中身(目次)序章 世界で通用するプロダクトとは何か?
第1章 Notion:ユーザーを虜にしたオールインワン・ワークスペース
第2章 Zoom:シンプルさと信頼性で勝ち取ったビデオ会議の世界標準
第3章 Airbnb:「信頼」を設計した宿泊プラットフォームの挑戦
第4章 Shopify:個人商店を支えるグローバルECエコシステム
第5章 Spotify:音楽業界を変えたパーソナライズ戦略
第6章 Duolingo:ゲーム感覚で習慣化させた世界最大の語学学習プラットフォーム
第7章 Netflix:DVD宅配からストリーミング革命へ、自ら変革し続ける巨人
第8章 Slack:ゲームの副産物が生んだ業務通信の新常識
第9章 Canva:非デザイナーのための創造ツール革命
第10章 Discord:ゲーマー発、万人に広がるコミュニティ空間
第11章 Uber:移動の常識を塗り替えたライドシェア革命
第12章 Pinterest:ビジュアルでユーザーの心を掴んだ発見プラットフォーム
第13章 Stripe:開発者ファーストで築いた決済プラットフォーム革命
第14章 Miro:リモート時代のホワイトボードコラボレーション
第15章 Figma:ブラウザ上で実現したデザイン協働革命
終章 15社に学ぶ世界で成功するプロダクトの原則
参考文献
読んだ人のクチコミ・”zoomの“シンプルさ”とNetflixの“自ら変革し続ける姿勢”など、多彩なケースを横断して学べる。
・Duolingoのゲーミフィケーション、ShopifyのECエコシステム構築…各章ごとに“成功の仕組み”が明快に整理されています。
・Figmaの“協働革命”やSlackの“副産物から生まれたイノベーション”など、舞台裏エピソードが面白かったです。
・ユーザー課題への徹底フォーカス、UXの“クリック3回以内”設計、そして継続的なイノベーションなど、プロダクト戦略の全体像がクリアになりました。

1.データ収集・抽出・分析

まず、データ活用に関するスキルはPMに必須です。

理由

  • 現在の事業・プロダクトの状況を正確に把握するため
  • ユーザーがどのようにプロダクトを利用しているのか把握するため
  • さらに、それらデータがどのように収集されたかを把握することで、データの精度・信頼性に関する肌感覚を得られる

具体的な知識・スキル

SQL(selectだけでOK)

  • SQLは必須スキルです。優秀なプロダクトマネージャーやディレクターはほぼ例外なく全員がSQLを使うことができます。
  • 最低限、select文でデータ抽出ができればOK
  • 学習方法:progateのSQLコース、Udemyの関連動画、書籍、あたりがおすすめです。

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②アクセス解析ツール(GA、mixpanel、redash、Looker、Tableauなど)

  • こちらも必須スキルです。ツールの種類は組織によって異なりますが、少なくとも1~2個は利用している場合が多いと思います。特にファネル分析、マジックナンバー分析は非常に強力なのでマスターしたいです。
  • ドキュメントを読み込んで、例えば「この可視化されたデータはどのように収集されているのか」などを知ることでより分析の精度がアップします。
  • 学習方法:既に導入済みの場合はひたすら触ってみる。導入してない場合は無料プラン、お試しプランがあるのでそれを触る。

※こちらもおすすめ「データ可視化のおすすめ本・書籍ランキング〜入門書、初心者向けなど〜

③EXCEL(関数、ピボットテーブル)

  • 技術知識といっても基礎スキルみたいなもんですが、EXCELでのデータ分析もマストハブなスキルです。
  • 少なくとも関数(vlookup,if分,countなど)を入れ子にしたり、色んなローデータをピボットテーブルで集計するなどは必須です。たまにピボットテーブルを使えず関数を全セルに入力して集計する人がいますが圧倒的なムダです。
  • 学習方法:入門書を見ながら、実際の現場データをいじってみる

2.実験スキル(ABテスト)

次に、実験をして仮説検証をしていくスキルもPMには必須です。

理由

  • 直感で意思決定をすることも重要だが、よりリスクを減らし施策の精度を上げるために必要
  • 開発チームで行うと時間がかかるところをビジネスサイドだけで高速にPDCAを回すこともできる

具体的な知識・スキル

①ABテスト

  • ほとんどの組織がABテストを導入していると思います。たとえば、特定機能を50%のユーザーだけに公開して反応を見たりします。他にもコンバージョンの画面でCTAやアイキャッチの画像や文言を複数パターン用意してCROを行うグロースハック的なABテストもあります。事業のフェーズにもよりますが、PMとしては前者のほうがよりインパクトを出す施策に繋がると思います。
  • 学習方法:Google オプティマイズを試す。ABテストについて書籍やネットで調べる。

3.開発環境&システム構成の理解

3つめはより開発サイドに近い知識です。開発環境の理解や、システムアーキテクチャの理解もPMには必要となります。

理由

  • エンジニアと会話する際に必ずこれらの用語はでてくる。用語を理解できないとそもそも会話についていけないし、PMとしての意思決定が正しいものにならない。
  • アーキテクチャを理解するとプロダクトをシステムとして捉えられる。それはエンジニアの見方と同じ。よりよい判断をできるようになる。

具体的な知識・スキル→組織によりけり

例えば、言語、フレームワーク、サーバー、データベース、などの中でどれを使っていて、それらがどのように連携されているのか?など

  • 学習方法:共有ドキュメントがあれば読み込む、わからない用語があるときはググったり、エンジニアに聞く。また、そもそもドキュメントが存在しない場合もエンジニアに聞く。

4.APIの理解

APIについての理解も必須となります。APIを理解しており、API仕様書を読めると仕様作成の速度&精度が飛躍的にアップします。ぜひ習得したい知識です。

理由

  • ほとんどのシステムはクライアント側、バックエンド側をAPIを通じて通信している
  • また、さまざまな外部サービス(例:地図サービス、天気情報、など)はAPIを通じてデータを外部サービスからも利用可能としている

具体的な知識・スキル

①APIとWebhook、それらの違い

  • API、webhook、それぞれの用語の意味や違いを理解しておきましょう
  • 学習方法:API仕様書が社内にあれば読む、わからないことをエンジニアに聞く、ググって解説記事を読む

② REST API

  • 一般的に使われているRESTの設計原則に沿ったAPI
  • 学習方法:ググって解説記事を読む

5.プログラミング

プログラミングもできたほうが良いですが、できなくても問題は無いと思います。優先度としては、1〜4に上げた内容のほうがはるかに重要かと思います。とはいえ、知らないよりは知っておいたほうが当然良いため挙げさせていただきました。

理由

  • エンジニアの話している内容がコードレベルで理解できるようになる。より解像度があがる。

具体的な知識・スキル

①自社で利用している言語、フレームワーク

  • まずは自社で利用している言語やフレームワークを最初に学びましょう
  • 学習方法:progateやUdemyで該当言語のコースを受講する、かんたんなアプリケーションを作成してみる

②VBA、GASあたりもおすすめ

  • PMといっても専任でなければ定期作業やレポーティングなどの作業時間も多いです。業務効率化、自動化に繋げやすいVBAやGASを学んでみましょう
  • 学習方法:youtubeなどの動作で学ぶ、書籍、実務でやっている作業を実際にプログラムを書いて自動化してみる

さいごに

以上、おおきく5つの項目にわけてプロダクトマネージャーに必要な技術知識をまとめました。いきなりすべてを身につけるのは難しいので、まず最初は週末に1テーマずつ学んで全体をざっと把握していくのが良いかなと思います。あとは実務経験をする中で、自然と深い知識となっていくはずです。

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